チタンボルトは『料理』じゃない!焼くのは危険行為です

今回は、YouTubeなどでもよく見かける「チタンボルトを炙って焼き色をつける」について。
ハッキリ言いますが、バーナーや七輪でボルトを焼くのは、ボルトを終わらせる危険な行為です。
真似しないでください。

「焼き入れ」のつもりが「焼きなまし」に

バーナーや七輪で炙ってそのまま放置するというのは「焼きなまし」という工程なんです。
熱くなった金属組織がゆっくり冷えることで、安定した状態に再構築するんです。

「安定」って良い響きですが、金属が柔らかい状態にしてしまうんです。
つまり、ガチガチに固められた組織を解きほどいてフニャフニャしてるわけです。

ついでに言うと、高温のチタンは空気中の酸素を猛烈に吸収し、「酸素脆化(ぜいか)」を起こします。

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加熱後、一気にに冷やす急冷を行うのが「焼き入れ」
この工程は金属を強くします。

着色温度と組織変化の温度

焼き色がつき始める温度は、約400℃~
鮮やかな青色が出る温度は、約600℃~
チタンの組織変形させる温度は、約980℃~

青色がつきだしてから、組織変形が起こりだすまで300℃以上あります。
なので、その間に加熱を中止すれば大事にはならないでしょう。

しかし! バーナーの炎は1,500℃、七輪の炭火も1,000℃以上。
一瞬でボーダーラインを超えてしまうんです。
素人に温度管理は難しいです。

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上記の数値はあくまで一般論(机上の理論)です。状況によっては、もっと早い温度で組織が崩れる場合もあったり、その逆もあります。やはり素人が熱処理を行うのはオススメできません。

チタンマフラーの焼き色は?

では、マフラーの焼きはなぜ問題ないのか?
答えは3つあります。

① 純チタンで作られるから

チタンボルトがTi-6Al-4Vという合金に対し、マフラーは純チタンの材料が使われてます(※)
混ざりものがないから、組織が分解されても元に近い状態に再構築するんです。

② マフラーに強度はいらないから

仮に強度が落ちる結果になったとしても、マフラーに強度は不要。
そもそもが強度の低い材料でつくられてます。

③ マフラー屋さんがつくるから

マフラ-づくりのプロが、マフラーをつくるための環境のもと製造するわけです。
素人のバーナーや七輪とはわけが違う

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チタンマフラーは「純チタン2種」もしくはそれ相当のものが多かったのですが、最近はチタン合金も使われています。

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。