ボルトにスレッドコンパウンドは塗るべきか

今回テーマである
「ボルトにスレッドコンパウンドは塗るべきか」

実は、これプロのメカニックでも意見の分かれるところ。

・基本塗る
・高温部だけに塗る
・塗りたくない

この3パターンに分かれます。
どれが正解というわけでなく、優先順位の捉え方の違いですね。

スレッドコンパウンドとは

メーカーの説明文にはこうあります👇

銅粉を主体とした各種微粉末金属粒子と極圧剤により、高温高荷重のカジリ・溶着を防止し、錆・腐食による取付部の固着も防止します。
また、シール性に優れ、締付けトルクを一定に保ちます。高温部のマニホールド、マフラー取り付けネジ部に、またディスクブレーキグリースとして使用できます。
大型車・乗用車のホイールボルト、ナットには使用しないでください。
(自動車工業会及び各メーカーの車両サービスマニュアルに従ってください)

わかりやすく言うと…
「ネジ山に金属粒子が入り込むことで、金属同士(おねじとめねじ)の直接接触が減り、カジリや固着を防ぐ」

金属粒子がクッション材の役割を果たすわけです。
では、それぞれの考え方を見ていきましょう。

基本塗る派

まずは、基本ボルトは全てスレッドコンパウンドを塗るという派について。

「カジる可能性があるから塗る」
「カジリやすい材質のときは必ず塗る」

すごくシンプルでわかりやすい考え方です。

高温部だけに塗る派

次に、スレッドコンパウンドは高温部だけに使う派。
具体的に言うと、マフラーフランジのみに使用する派。

高温部では金属同士がくっつく凝着が起きやすいんです。
その点、スレッドコンパウンドなら高温で油分が蒸発しても金属粒子が残るから、カジリに有効なんです。

なお、凝着に関してはこちらで紹介してます👇

では、この「高温部だけ塗る派」が高温部以外はどうしてるのかと言うと…
モリブデングリスやモリペーストを使う。

もしくは塗らない。
これってつまり、高温部以外にはスレッドコンパウンドをあえて使わない理由があるわけです。

塗りたくない派

最後は、スレッドコンパウンドは塗りたくない派。
これには2つの理由があります。

1つは、不純物の混入を避けるため
もう1つは、 オーバートルクを避けるため

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まず、不純物についてですが、これは金属粒子のことです。
エンジン内部に金属粒子を持ち込みたくないと考えるメカニックもいます。

それともう1つ。
メーカーが想定していない成分をエンジン内部に持ち込みたくないというのもあります。

まぁ、それでトラブルを起こすことはまずないでしょうが。
代わりに、アセンブリペーストという有機モリブデン系のグリスを使います。
油に溶けるのが理由です。

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では次、オーバートルクについて。

過去の投稿でも説明してますが、トルクレンチは摩擦と軸力の合計を測定しています。
グリスによって摩擦(抵抗)が減った状態での規定トルクは締め過ぎになってしまうわけです。

最後に

結局のところ、自分が何を優先するかってこと。
人によって考え方は違います。
そのためにはグリスの特徴を理解しておきたいですね。

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。