なぜチタンは錆びないのか!?

チタンの真実・第3弾「チタンは錆びない!でも実は…すでに酸化してる」

物質の腐食は「すべて酸化が原因」と思われがち。
たしかに有機物なら、ほぼ正解です。

でも金属になると、話はチョット違う。
酸化は “腐食の原因” であると同時に “保護膜” にもなるから。

保護膜が強ければ、中の金属も腐食を防ぐことができます。
その代表例であり、最も極端なケースがチタン。

そう、チタンは完全に酸化した状態にある のです。

酸化はドライアイスに似てる

金属の酸化は、イメージするなら「ドライアイスに水をかけたとき」に近い。

最初は激しく昇華して煙が出まくりでます。
でも、しばらくすると水が凍って表面に「氷の層」ができます。
すると、ドライアイスの昇華は一気に遅くなります。

酸化に置き換えると…
  • ドライアイス → 金属
  • 水 → 酸素
  • 氷の層 → 酸化被膜

もし氷の層が、絶対に溶けなかったらどうでしょう。
中のドライアイスは、ほとんど昇華しなくなります。
これと同じことが、金属で起きてるんです。

不動態という酸化被膜

チタンが錆びないのは、この「氷の層」にあたる酸化被膜が強固だからです。
こういったある程度強い被膜を不動態(不動態被膜)と言います。

※ 酸化被膜と不動態は完全なイコールではありません。

少し専門的な話

どの金属にしても、まずは酸化被膜を作ろうとします。
でも、隙間だらけで脆い被膜しか作れない金属、どんどん腐食が進みます。
実は鉄の赤サビは、酸化被膜の出来損ないなんです。
一方で「ある程度強固で安定し、中をガードできるエリートな被膜」が 不動態 と呼ばれるんです。

チタンは空気に触れた瞬間に酸化被膜を形成し、常にこの被膜に覆われた状態にいます。

また、さまざまな溶液や酸に対して非常に強い!
おまけに、チタン本体に傷がついても、被膜は瞬時に回復する。

チタンが腐食しないのは、この被膜がバリアの役割を果たしてるからなんです。

このバリアによってチタンは、外部からの影響を受けず、外部へも影響を与えない わけです。

※厳密には「受けにくく、与えにくい」が正解

金属によって違う被膜の強さ

実は、ほとんどの金属が酸化して被膜を作ります。
しかし、その強さが異なります。

被膜が強いものは不動態となり保護されます。
一方弱いものは腐食を早める原因になります。

酸化被膜の強さランキング
スクロールできます
チタン最強の不動態
ステンレスベースであるクロムの不動態は非常に強固
アルミそこそこ強く、酸化被膜は不動態に分類される
鉄系被膜は脆く、バリアにならない、むしろ腐食を早める

特にクロムで出来たステンレスの不動態は強い。
Stainless (錆びない) って名前がつくぐらいですから。

とはいえ、錆びたステンレスって目にしますよね?
それは、不動態には弱点があるから。

不動態の天敵

不動態の弱点、それは 塩化物イオン

大気の成分に「塩素」は含まれていません。
でも、大気中に潜んでいるんです。
排気ガス、下水、そして潮風など…。

そして、この塩化物イオンは、ほとんどの不動態(バリア)を簡単に破壊してしまいます。
錆びたステンレスを目にするのは、この塩化物イオンにバリアを突破された結果なのです。

しかーし!!
そんななか、チタンの不動態だけは負けないんです。
チタンは強固で安定した酸化被膜に封じられた金属なんです。

チタンが過酷な化学プラントや人体に使われるのは、不動態により外部の影響を受けず、外部に影響を与えないから。

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。
また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。