アルマイト博士への道①、陽極酸化=アルマイトじゃない!

今回は「アルマイト」について。
多くの人が「陽極酸化=アルマイト」だと思っていますが、実はそうじゃない。

では、何が正解なのか?
そして、なぜこれほど誤った認識が広まっているのか?
その謎を紐解いていきます。

そもそもアルマイトとは?

別名を陽極酸化と言います。
内容をひとことで言えば「アルミ専用の人工的な酸化被膜」です。

アルミやステンレス、チタンなどは酸素に触れると表面に酸化被膜をつくります。
これで腐食から身を守ります。

しかし、アルミの酸化被膜は薄く不安定。
そのままでは過酷な環境で腐食してしまいます。

そこで陽極酸化という電気処理を施し、強固で安定した被膜を作るのがアルマイトです。
表面には規則的な「微細な穴」が開いており、そこに染料を染み込ませることで自由な着色も可能になります。

ステンレスやチタンは自然にできる酸化被膜が非常に強固。
そのため、陽極酸化は装飾のために行います

陽極酸化≠アルマイトの真実

本来アルマイトは、アルミの陽極酸化の1つ なんです。
従って、アルマイト以外の陽極酸化もあるんです。

チタンやマグネシウムにもアルマイトと言う人がいますが、完全にNO!
さらに言うと、日本独自の呼び名でもあります。

アルマイトの歴史
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1920年代に完成

理化学研究所(理研)が、日本で初めて実用的なアルミの陽極酸化技術を開発

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商標登録

理研はこの技術を「アルマイト」と命名し、商標登録しました。

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専門会社の設立

理研アルマイト会社を設立

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アルマイト製品の普及

アルマイト製のヤカンや鍋が家庭に普及

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商標の普通名称化

「陽極酸化=アルマイト」が定着

加工名よりも商標のアルマイトが先行して広まってしまったわけです。
シャープペンシルの語源となったSHARPの「シャーペン」や、温水洗浄便座の代名詞となったTOTOの「ウォッシュレット」などと同じ現象です。

海外でアルマイトは通じない

Google翻訳を使うと以下の通り

陽極酸化 → anodization
アルマイト → anodized aluminum

つまり、英語圏には「アルマイト」という単語が存在しないんです。
とはいえ、日本と取引する中国や台湾の企業には通じることが多いです。

現在の状況

「アルマイト」が広く普及したため、現在では特定の商標というより、アルミの陽極酸化を指す一般的な呼び名として特許庁から認められています。
なお、アルミ以外の陽極酸化は今もアルマイトではありません。

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。
また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。