ねじの「最低はめあい長さ」はいくつか?

ねじの「はめあい長さ」って、どれだけあれば安心していいのでしょう。
JIS規格では 0.5d~1.5d (※)という曖昧な表記になってます。

(※) d=直径。M6の1dは6mmとなります。

「最低はめあい長さ」については色々と理論があります。
ボク自身の理論もあるので紹介したいと思います。

はめあい長さ ≠ かかり代

具体的な説明の前に…

「はめあい長さ」と「かかり代」す。
「かかり代」とは違うので要注意。

「かかり代」= 挿入量(物理的な長さ)

「はめあい長さ」= 有効長(強さに効く長さ)

ボルトの先端には面取りが施されています。
また、面取り直後も本来のネジ山高さになってない部分ができます。

これを合わせて 不完全ねじ部 と言います。

めねじに入った総距離が「かかり代
かかり代から不完全ねじ部を除いたのが「はめあい長さ


0.5d 理論

これは冒頭で紹介したJIS規格の最低値です。
具体的な はめあい長さ は以下のようになります。

M6の場合… M6×0.5 = 3.0mm → 3山のかかり代
M8の場合… M8×0.5 = 4.0mm → 3.2山のかかり代
M10の場合… M10×0.5 = 5.0mm → 並目なら3.3山、細目なら5山

それぞれのネジ山のかかり代は
M6 → ピッチ1.0なので…3÷1.0 = 3山
M8 → ピッチ1.25なので…4÷1.25 = 3.2山
M10→ピッチ1.5 (並目)の場合…3.3山、ピッチ1.0 (細目)の場合…5山   

はっきり言います、この基準はダメ!
こんなのネジ山が壊れます💦

0.6d 理論

これは山田晃さんの ”ねじ締結の理論と計算” に記されている基準です。
ボルトを取り扱う業者にとってのバイブルと言われてます。

0.6dなので、M6であれば3.6mmになります。(0.6×M6)
ちなみにこの3.6という数値、「3種」と呼ばれる薄型ナットの厚みなんです。
M8、M10もそれぞれの3種の厚みの数値になります。

ただしこれは「おねじとめねじの引張強度が同じ場合」という条件付き。
つまり、同じ材料であることが必須というわけです。

また、貫通した穴にボルトを通し、裏からナットといった場合あればこれでいいでしょう。
でもダイレクトに

0.8d 理論

M5×0.8 → 4.0
M6×0.8 → 4.8
M8×0.8 → 6.4

これは一般的なナット(1種・2種)の厚みとほぼ同じ数値になります。

(M6やM8の場合、もうチョットだけナットに厚みがあります)

1d 理論

これが一番よく聞く数値ですね。
ボクの周りの設計者やメカニックも「1d」

M6なら6mm、M8なら8mm。
分かり易い。

おまけ:面取り深さ

実はボルト「面取り深さ」は、JIS規格で決まってないんです。
決まっているのは「先端径」なんです。。

面取り深さは先端径を使って算出します👇

面取り深さ= ねじ外径 (d)-先端径 (dk) ÷2

例えばM6の場合、dkの許容範囲は4.7~4.1に決まってます。
これを計算式にあてはめると…

6-4.7÷2 = 0.65 
6-4.1÷2 = 0.95

従って、M6の面取りは C0.65~ C0.95 となるわけです。

なお、その他のサイズは以下の通り。

スクロールできます
呼びピッチ先端径(dk)面取り深さ (c)
M50.83.9 ~ 3.50.55 ~ 0.75
M61.04.7 ~ 4.10.65 ~ 0.95
M81.256.2 ~ 5.50.9 ~ 1.25
M101.0 (極細目)8.3 ~ 7.80.85 ~ 1.1
1.25 (細目)8.1 ~ 7.60.95 ~ 1.2
1.5 (並目)7.8 ~ 7.31.1 ~ 1.35

めねじの

スクロールできます
呼びピッチ入口径(dS)面取り深さ (c)
M50.85.3 ~ 5.00.55 ~ 0.4
M61.06.3 ~ 6.00.65 ~ 0.5
M81.258.4 ~ 8.00.8 ~ 0.6
M101.0 (極細目)10.3 ~ 10.00.65 ~ 0.5
1.25 (細目)10.4 ~ 10.00.8 ~ 0.6
1.5 (並目)10.5 ~10.0 1.0 ~ 0.75

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。
また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。