アルマイト博士への道③、耐食・装飾だけじゃない!

アルマイトの主な目的は「耐食(アルミの保護)」と「装飾」です。
でも、なかには特定の「機能」を持たせることを目的にしているものもあります。

潤滑アルマイト

「動きをスムーズにする」ためにサスペンションや駆動系に用いられてます。

カシマコート

潤滑アルマイトの代名詞的なものですね。
硬質アルマイトに二硫化モリブデンを合わせてるので、耐摩耗性と潤滑性に優れます。
SHOWAやKYBのサスペンションに採用されています。

※カシマコートはミヤキ社の商標です

テフロンアルマイト

アルマイトの孔にテフロン樹脂を染み込ませたものです。
撥水効果と非粘着性が強く、ガソリンや汚れをはじくたのが特徴。
キャブレターのスロットルボディ、キャリパーのピストンなどに使用されています。

その他、タフラム、ニダックスといった潤滑アルマイトもあります。
ですが、バイクには使われていないので省略。

高反射アルマイト

「光を遠くまで届ける」ために、反射率を極限まで高めたものです。
光学性能を追求したアルマイトです。

使用箇所
  • ヘッドライトのリフレクター
  • LEDフォグランプの灯体内部
  • テールランプのインナーパーツ

この処理の場合、材料が特殊いなります。
純度99.5%以上の高純度アルミに限定されます。
ステップやトップブリッジのようなアルミ合金ではありません。

導電性アルマイト

本来、アルマイト皮膜は電気を通さない絶縁体ですが、特殊な処理で電気を通すようにしたのがこれ。

使用箇所
  • ECU(エンジンコントロールユニット)のケース: 電磁波ノイズを防ぐためのシールドとして。
  • レギュレーター: 放熱しつつ、アース(マイナス極)への通電を確保するため。
  • アーシングパーツ: 酸化を防ぎつつ、しっかり電気を流したいマウント箇所など。

抗菌アルマイト

バイクパーツそのものへの採用は聞いたことがありません。
ヘルメットも一部に使われてることもあります。

使用箇所

Dリング(アゴ紐の金具)やベンチレーションのメッシュ部分など。
汗による菌の繁殖を抑えるためです。

オマケ、レースパーツのシルバーについて

レースマシンのシルバーアルマイトって絶妙な光沢があってカッコイイ。
これ、どうやってるかと言うと・・・実は生地のまま、アルマイトしてません。

光沢は切削によるものなんです。
販売目的じゃないから耐食性は必要ないわけです。

もちろん、腐食はします。
ですが、レース以外は屋内保管のため進行はかなり遅いです。

各メーカーの博物館で、昔のファクトリーマシンを確認できますが、やはり古いものほど腐食してますね。
ちなみに、強度が高いアルミほど腐食の進行は早い。

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。
また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。