カラフルなのには理由がある

日本人のバイクカスタムって、黒やシルバーを基調にしたものが多いですよね。

悪く言えば、地味。

良く言えば、落ち着いた感じ。

あえて目立たせない「大人のカスタム」ってやつですね。

実際、バイクに乗る人の平均年齢も上がっているので、文字どおり『大人のカスタム』になってきたのかもしれません(笑)

一方、レースマシンはどうでしょう?

赤、青、黄色、緑、ゴールド・・・。

ところどころに様々な色が付いてます。

ボク自身、レースの仕事に関わる前は、

「なんじゃこれ、色キチガイか!?」

なんて思っていました(笑)

でも、レース部品をつくるようになってわかりました。

全てに「意味がある」ってことが。

そう、カラフルにしたいわけじゃないんです。

瞬時に判断するための色

耐久レース中のピット作業は、タイムアタックです。

スタンドフックやホイールカラー、トサカは一瞬で認識できることが必須。

そのために派手な色を使います。

※トサカはチェーンかけるやつね。ニワトリのトサカに似てるよね

特に赤が多いのは、危険・警告を連想する色だから。

また、遠方から確認しやすいという性質があります。

信号機の「止まれ」が世界共通で赤なのもその理由。

また、黒のスイングアームが多く見られるのも、赤や青といった識別色を引き立てる効果があります

コンマ何秒を争う世界では、この「一瞬の認識」が重要なんです。

■間違えてはいけないための色

もうひとつが、操作ミスを防ぐため。

分かりやすいのがハンドルスイッチです。

レースマシンには、市販車以上にたくさんのスイッチが使われています。

また、市販車と違って、全部が同じような形状になってる場合が多い。

念のため、用途を記載したラベルを貼りますが、走行中にいちいち読むのも大変。

そのために色分けします。

「識別」ならぬ「色別」ってわけです。

考えてる時間、読んでる余裕はありません。

だから色を使って、直感的に分かるようにする。

作業性を上げるための色

例えば、左右がある部品の色分け。

「これ右だっけ? 左だっけ?」

といった、考える時間を省略できます。

チームによってはブレーキディスクだけでなく、ほぼ全ての左右対称品に色分けが施されてます。

HRCでは、正ネジと逆ネジのナットに色分けが施されてます。

青が正ネジ、赤が逆ネジになってます。

理由は先ほどと同じ。

考えなくても、一瞬で判断できるようにするためです。

……
0.1秒を競うレースマシンに、無意味なものや無駄なものなんてありません。

部品の色にも、ちゃんと理由があるんです。

昔は「色キチガイか!?」なんて思っていたレーサーの色使い。

理由を知ることで、カッコよく見えるようになりました。

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。