チタンは大事なバイクを腐食から守る

チタンの真実・第4弾「錆びないだけじゃない! 相手も錆びさせない」

チタンボルトが錆びないことは多くの方がご存知ですね。
では、「取り付けた相手も錆びさせない」って知ってますか?

「相手を錆びさせない」とは?

「チタンボルトは取り付けた相手を錆びにくくする」
逆に言えば、相手を錆びさせるボルトがあるってことです。

そう、ステンレスボルトなど、接触した部分の腐食を招く原因になることがあります。

異種金属接触腐食という現象を起こし、腐食を進行させるのです。

異種金属接触腐食とは?

読んで字のごとく
なる類の金属接触しておこる腐食 のことです。

電蝕 もしくは、ガルバニック腐食 とも言います。

写真はセローの純正キャリパーのブリッジボルト。
ネジ部を見てください。

表面の白いのはキャリパーのアルミの付着。
この鉄のボルトが、異種金属接触腐食を起こし、アルミの組織を破壊してるんです。

当然、ねじ山も痩せてしまいます。
これがブレンボのキャリパーやマルケジーニだったらゾッとしませんか?

ちなみに首下の半ねじ部がキレイなのは、接触してないからです。

異種金属接触腐食のメカニズム

異種金属接触腐食の原因、それは「金属間による電位の共通化」です。

金属はそれぞれ固有の電位を持っています。
異なる金属が接触した状態で、水分が加わると、互いの電位を同じ状態にしようとする電気化学反応が起こります。

このとき電子の移動が起こり、電位の低い金属から高い金属へと電子が流れます
その結果、電子を失った側の金属が溶け出し、腐食が発生します。

接触した金属の電位の差が大きいほど、腐食も激しくなります。

表は実環境における金属の電位。

バイクによく使われる金属、マグネシウム、アルミニウム、チタニウム、ステンレス、鉄を電位順に並べるとこう👇

チタン(+0.20) > ステン(+0.15) > 鉄(-0.35) > アルミ(-0.45) > マグ(-1.35)

例えば、アルミ製品にステンレスボルトを使った場合
アルミ(-0.45)とステンレス(+0.15)は、互いに近い電位になろうとします。
その過程でアルミからステンレスへ電子が流れ、電子を失ったアルミが腐食します。

じゃあ、チタンはと言うと…+2.0というさらに高い数値💦
他の金属に対してメチャ攻撃性が強い金属ってことです。

しかーし!!!!!
チタンは前の記事で説明した通り、不導体によって守られている。

不動態というバリアによって絶縁に近い状態になっている。
そのため電気化学反応である異種金属接触腐食がほぼ起こらない。

補足、条件や使用期間によっても異種金属接触腐食の割合がかわる

チタンは完全な絶縁体ではないため、理論上は接触する相手を腐食させる可能性があります。

ただし、実環境では水分と塩素が少なく、さらにボルトという小さいサイズ。
そのため実用上は、ほぼ異種金属接触腐食を起こさせないと言えます。

一方、水中や海中といった電気化学反応が起こりまくりの環境では、電位差がそのまま影響します。
ステンのボルト以上に相手を腐食させます。

ステンレスボルトは避けるべし!

アルミと鉄は電位差が少ないので、比較的相性のいい組合せと言えます。
実際の使用でも、腐食させにくいことを確認できます。

ただし! この状態は長く続きません。
鉄が錆びやすい金属だから。

表面処理が剝がれると一気に腐食が進行します。
でもって、その錆びは相手材へも影響を及ぼすことになります。

なので、バイクを守りたいなら鉄ボルトは定期的な交換が必要。
それをメンドクサイと思うならチタン化ですね。

最悪は、ステンレスボルト!
ステンレスも不動態被膜を持ってますが、絶縁性はチタンに比べるとかなり低い。

被膜が機能してないときは、電気的影響を受けやすくなります。
その際は、表でわかる通り、メッチャ攻撃性の高いボルトになります。

この記事を書いた人

パーツメーカーやレースチームの黒子として多くの開発実績を持つ実力派エンジニア。
また「バイクをカッコよくする」をテーマに、プロの技術と知識をブログやSNSで惜しみなく発信中。

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